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Fairlight CMI-II:

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CMIALL
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  概要  ウンチク  その他
Fairlight CMI-II はこんな音

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  Page 8 :

I9PAGE8(サウンド・サンプリング)

 マイク/ライン・インの信号をサンプリングするページ。


 サンプリング・レートは 2100 ~ 30200 Hz まで,したがって周波数特性は最高でも 15.1 KHz ということになる。サンプリングの分解能は 8 ビットだが,コンプレッサー/エキスパンダーを搭載しているため 10 ビット程度の精度にはなっている。

 このページにはサンプリング・レートの設定や,サンプリング時に不要な周波数帯をカットするフィルター・ロー,フィルター・ハイ,入力レベルがある一定値を超えるとサンプリングが始まるトリガ・レベル,レベルが一定値を超えてからサンプリングが始まるまでの時間を設定するトリガ・ディレイ,サンプル・レベルなどのパラメーターがある。

 このページのフィルターはクオリティの高いサンプリングには確かに必要だが,細かい音質クオリティよりも音の派手さを出すためにはフィルターをなしにして,オーディオ信号を直接 A/D コンバーターにつないだ方が音の抜けが良くなる。そういったことをしたいユーザーのためにあるのが,ADC ダイレクトのインプットである。このインプットに接続された信号はフィルター/レベル調整の回路をパスして,直接 A/D コンバーターに送りこまれる。

 またこのページにはコンプレッサーのオン/オフ・スイッチがあるが,シリーズ I ~ IIx を通してこのスイッチはずっと無効のままだった。


 FAIRLIGHT ではサンプリングした音のループをセグメント単位で行う。このため,サンプリングする音の 1 周期が 1 セグメントの中に入っているのが望ましい。奇麗に 1 周期が 1 セグメントに収まったサンプル波形は,どこをループしても音が奇麗につながるが,1 セグメントにうまく収まっていないとループした場所でパチ! っというノイズが入ってしまう。このため FAIRLIGHT のサンプリングでは,元の音の音程と,それに見合ったサンプリング・レートの表がヘルプ・ページにあり,この表を元にサンプリング・レートをセットするのが望ましかった。

 現在の CD のサンプリング・レートは 44.1 KHz ,DAT では 48 KHz であり,これに比べると FAIRLIGHT の音質は明らかに悪い。当時はまだ CD は発売になっていなかったが,レコードで言えば SP 盤といった感じの音がした。これは FAIRLIGHT も重々承知していたらしく,少しでも音質が良く聞こえるサンプリング方法をユーザーにアナウンスしていた。その方法はテープに取った音ネタをサンプリングするとき,テープの速度を半速にして再生し, FAIRLIGHT のサンプリング・レートも半分に落としてサンプリングする。これを通常の音程に戻して演奏(音域をオクターブ上げて演奏)すると,テープのヒス・ノイズをカットすることができる。テープのヒス・ノイズはテープ・スピードに関係なく常に同じ周波数帯で発生するため,サンプリング・レートを半分にしてサンプリングし,これをオクターブ上で演奏するとヒス・ノイズの分が超高域に行ってしまい,音が聞こえなく( FAIRLIGHT が再生しきれなく)なり,その分原音がクリアに聞こえるという訳である。