シンセ用語集:サ行

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・サイン波 (Sine)

 正弦波ともいう。倍音を含まない最も柔らかい音色で,フルートや口笛の音を作るときに利用される。

 また LFO で作られた低周波のサイン波はビブラート等に利用される。

     G78

サイン波のサウンド。

 


・サスティン (Sustain),サスティン・レベル (Sustain Level

 エンベロープ・ジェネレーターアタックディケイ終了後にゲート信号が続いている間の電圧の高さ。エンベロープ・ジェネレーターの図参照。

 また古いキーボードでは,単独でサスティンと言った場合リリースの事をさす場合も多い。この場合サスティンを上げると鍵盤から手を離した後で音に余韻がつく。

サスティン・レベルを徐々に上げていく。

 

 


・雑音

 ノイズの項参照。

 


・サブ・オシレター (Sub Oscillator)

 ローランド等のシンセサイザーで VCO で設定した音程の1〜2オクターブ下の音を追加する機能。

 これらは VCO の波形をディバイダーに通して周波数を半分にしただけのものなので,音の厚みがそれほど増すわけではない。

最初、鋸歯状波だけの音に、サブ・オシレターで1オクターブ下の矩形波を次にサブ・オシレターを2オクターブ下の矩形波に切り替える。

 

 


・三角波 (Triangle)

 サイン波に近いがわずかに奇数倍音を含む。

     G83

三角波のサウンド。

 


・残響

 リバーブの項参照。

 


・サンプル&ホールド (Sample & Hold)

 インプット・ソースに入ってきた信号電圧が,クロック信号の入ってきた瞬間から次にクロック信号が来るまで保持される機能をもつモジュール。

 S/H などと略される。また、この機能を Sampler(サンプラー)と表記するモデルもある。もちろん音をレコーディングする現在のサンプラーとは(原理的には近いが)関係ない。

 インプットにノイズを,クロックに LFO を使えば一定周期でランダムに変化する電圧を作ることができる。シンセサイザーではこの機能はキーボード部分にも使われている。鍵盤から手を離して次の音が弾かれるまでの間,CV を保持するためである。これがないとリリースで音に余韻をつけようとしたとき音程が変わってしまうわけである。

 また,インプット・ソースにノイズを,クロックにキーボードのゲートまたはトリガー信号を利用すると1音弾くごとに変化するランダム電圧を作ることができる。これを使うと1音ごとに音色の違った VCF サウンドを作ることができる。ラグの項も参照。

     G85

ノイズをサンプリングしてランダムなピッチの電圧を作り、それをVCOに送ってランダム・ノートを演奏させる。

 


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・CV

 Control Voltage の略。シンセサイザーの制御電圧のこと。

 この電圧を VCOVCFVCA に送り音を作る。CVには鍵盤からの Keyboard CV(KCV,KeyCV),エンベロープ・ジェネレーターからの電圧,LFO からの電圧等,色々なものがある。


・ジェネレーター(Generator)

 発生器の意味。ノイズ・ジェネレーターなら雑音発生(発振)器。コーラス・ジェネレーターなら入って来たオーディオ信号にコーラスをかけ、複数の音が鳴っているように聞かせる効果付加器となる。

 


・周波数

 (Frequency=フレケンシー)音の振動数=音の高さの単位で Hz(ヘルツ)で表す。1秒間の振動回数がこの数字で表わされる。10Hz なら 1 秒間に 10 回の振動,100Hz なら 100 回の振動ということになる。

 ちなみに人間の耳に聞こえる音の周波数範囲は 20Hz から 20KHz とされている。また基準音となるセンターの A 音は 440Hz が使用される(実際には 441〜442Hz くらいが多い)。

 


・シーケンサー (Sequencer)

 自動演奏装置のこと。アナログとデジタルの2種類がある。

 初期のシンセサイザーでは当然アナログ方式であった。 Oberheim DS-2 以降徐々にデジタル方式のものが登場した。アナログ・タイプのものでは1つのボリュームに1つの音をセットし,それをクロック信号で順次進めていき,その出力を VCOVCF に送って音列を作っていく。この方式では 10音演奏させるのに 10個のボリュームが必要となる。

 タンジェリン・ドリームのように,この少ない音数をうまく反復パターンに応用して好結果を得た例も多数ある。また,アナログ・シーケンサーで長い演奏フレーズを作るときには多重録音を利用して音楽を作っていく。最初の 10個程度の音を演奏/録音したら,テープを止めて次の音列をセットし,続きをテープの別トラックに録音して行けばいいわけだ。

アナログ・シーケンサーをリピート・モードにしてプレイさせ、ステップ数を1〜8に増やしていく。

 


・ジョイスティック (Joy Stick)

 ビデオ・ゲームでみかけるものと同じXYの両方向に操作可能なコントローラー。 KORG の製品に多くついている。

 通常X方向がピッチ・ベンド,Y方向の+(上)が VCOモジュレーション,-(下)が VCF・モジュレーションの深さになっていることが多い。

 


・シンク (Sync)またはシンクロ (Synchro)

 同期の意味。

1:VCO が 2つ以上あるシンセサイザーでは 2つの VCO のうち片方をマスターとし,マスター・オシレターの波形が頭に戻るたびに,もう一方のオシレター(スレーブ)の波形も強制的に頭に戻してしまう機能。

 ストロング(ハード・シンクともいう)とウィークの2つのモードがあるが,一般的にはストロング・モードが使用されている。ストロングでは,スレーブ・オシレターのピッチがマスターと大きくズレていると,波形が複雑な形になり音色がハデになる。スレーブ・オシレターのピッチをエンベロープ・ジェネレーターで動かしてやると,VCF では不可能な劇的な音色変化を得ることができる。

 またウィークでは2つのオシレターのピッチがユニゾン/完全4度/完全5度などの整数比関係にあるとき,ロックがかかり2つのオシレター間のビートがなくなる。完全にピッチが揃えば使えるが,音が汚くなってしまう事が多く,使い道はあまりない。

     G90


2:
デジタル・シーケンサーでは基準になる演奏に対してタイミングがピッタリとそろって演奏されることをいう。これにはシンク信号を使用し,最初の演奏(元になる演奏)のシンク信号に,2回目以降の演奏がロックされる。

最初はウィークで、スレーブのピッチを動かす。次に同じことをストロングにしてやってみる。

 → "シンセ講座のシンクの項も参照"

 


・シンク・トラック (Sync Track)

 シーケンサーやドラムのシンク信号を録音したテープのトラックのこと。

 


・シングル・トリガー (Single Trigger)

 鍵盤を押したときのトリガーの出力モードの1つ。

 このモードでは鍵盤をレガートに演奏したとき,エンベロープ・ジェネレーターは最初に鍵盤を押したときのみに動作する(鍵盤からのトリガー信号はレガート演奏中は最初の1つ以外は出力されない)。したがってエンベロープ・ジェネレーターの設定によっては最初だけ音が出て,レガート演奏中は音が出なくなることもある(反:マルチ・トリガー)。

最初にシングル・トリガーによる演奏、次に同じフレーズをマルチ・トリガーにして演奏。

 

 


・シンセサイザー (Synthesizer)

 楽器としてのシンセサイザーは正確には「Music Synthesizer」という。日本語になおすと楽音合成装置。日本語訳は使われないが、辞書によってはこの言葉で載っている事もある。

 1920年代にロシアの科学者レオン・テルミンの作ったテルミンがその元祖とされている。その後同じ20年代にフランスでオンドマルトノ,30年代に入るとトラウトニウムと開発されていき,1955年にはアメリカのコロンビア大でハリー・オルソン,ハーバード・ベラーの2人により『The Mark-II R.C.A. Electronic Sound Synthesizer』が出現する。

 現在,一般で言われているアナログ・シンセサイザーの元祖となるのは 1960年代(製品としては 1965年)にモーグ博士(Robert Moog)によって開発された MOOG シンセサイザーである。全てのモジュールが 1V/1oct 規格電圧でコントロールされ,VCOVCFVCA という概念を定着させたのも,この MOOG シンセサイザーなのである。

 同様に CV コントロール可能なシンセサイザーは同じ時期にブックラ(Don Buchla)によっても開発されている。ブックラのシンセサイザーは、必ずしも鍵盤や12音音階に依存しないアプローチを取っていたので、一般にはあまり知られていないが、2014年現在でもメーカーは存在し製品を開発販売し続けている。

 


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・スィープ (Sweep)

 シンセサイザーの音色(特に VCFVCO シンクを使ったサウンド)が連続的に変化していくこと。

VCFによるスィープ・サウンド。

 

 


・スタンダード・オシレター (Standard Oscillator)

 ピッチ調整用のA音(=440Hz)や、レベル調整用の1KHzのトーンなどを発振する基準音発振器。

 


・スルー・リミッター(Slew Limiter)

 Doepfer のモジュールインテグレーター、ポルタメントの項参照。


・スレッショルド、スレッショルド・レベル(Threshold、Threshold Level)

 日本語では閾値(しきい値)と訳される。

 エンベロープ・ディテクター等で、入力電圧があるレベルを越えるとスイッチがオンになるような設定をする時、このレベルを しきい値と呼んでいる。

 入力レベルがスレッショルド・レベルを越えると動作するモジュールにコンパレーターがあり、特定の条件で動作する操作をしたい時に使用される。

 コンパレーターの項に書かれているように、スイッチ的な使い方の他に、音色変化を付けるためのモジュールとして使用する事もできる。

 


・スロープ (Slope)

 フィルター(主に VCF )のカットオフ特性の違いによる周波数カットの傾斜。スロープの急なフィルターの方が効きがいい。ただし効きが良いフィルターは良い音がするというわけではない。

 スロープは Pole という言葉でフィルターの効き具合を示す。詳しくは”ポール” を参照。

     G96
 

 また,何らかのパラメーター(たとえば音程に対する倍音量)の変化レベルの傾き具合などもスロープと表現することがある。

12dBと24dBの特性をもつフィルターで、それぞれ2回ずつカットオフ・フレケンシーを動かしてみる。次に同じ事をレゾナンス5でやってみる。

 


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・正弦波

 サイン波の項参照。

 


・セミ・トーン (Semi Tone)

 半音のこと。

 クォーター・トーンの項も参照。

 


・スクエア・ウェーブ (Square Wave)

 矩形波の項参照。

 


・セント (Cent)

 ピッチを表わす単位。半音を 100セントとし、1オクターブは 1200セントとして表わす。セント率ともいう。

 


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・ソース (Source)

 オーディオやコントロール信号の源となる信号。

 


・ソウトゥース・ウェーブ (Sawtooth Wave)

 鋸歯状波の項参照。