1.RS-505(PARAPHONIC-505)のパンフレット
フルオーケストラの重厚なサウンドを可能にしたパラフォニック方式ストリングス・シンセサイザー。
RS-505 は,これまでのストリングス・サウンドを基本にシンセサイザーの表現力を加え,和音による新しいシンセサイザー・サウンドを生み出すキーボードです。
豊富な音色を作り出す各セクション
ストリングス,シンセサイザー,ベースの3セクションで構成され,それぞれが独立または同時に演奏が可能です。また,UPPER KEY,LOWER KEY に分かれ,演奏に合わせていろいろと使い分けができます。
●ストリングス・セクション
つやのある美しいストリングス・サウンド(弦楽合奏音)をつくり出すセクションです。立ち上がり時間を調節できるアタック,4’,8’または両方の音の割合を変えることができる機能などを備えています。
●シンセサイザー・セクション
シンセサイザーの音をつくり出すセクションです。UPPER KEY,LOWER KEY の音源,4’,8’,16’(16’は LOWER のみ,低音優先)がワンタッチで選べ,シンセサイズされた音にアンサンブル(合奏)効果をつけることも可能。エンベロープ(ADSR)信号による VCA(内蔵),VCF のコントロールや,VCF を LFO の信号でコントロールし,グロウル効果もつくり出せます。
その他,カットオフ・フレケンシー,レゾナンスなどを装備しています。
●ベース・セクション
ベース音は,LOWER KEY(低音優先)のみ働きます。音色はコントラバス,チューバ,セロの3種類,アンサンブル効果をプラスすることができます。AR(エンベロープ)も装備。
各セクションの音をより多彩にするコントロール
アンサンブル・モードは,I:ビブラート感のない小編成の合奏音,II:大編成のストリングス音,III:回転感のある特殊効果音など3種類の効果が得られます。
ビブラート・デプス,モジュレーション・デプス,LFO のレート,ディレイ・タイムによりビブラート効果およびグロウル効果を自由に調節できます。リリース・コントロールはストリングス,シンセサイザーの両セクションに作動します。
音程を自由に移動できるピッチ・シフト
押さえたえた鍵盤の音を低い音から自動的に立ちあがらせたり,全体の音程を自由に移動できるピッチ・シフト機能を装備。シフトは,手動,自動またはペダル操作でもいろいろな使い方ができるピッチ・シフト・モード,手元で操作できるピッチ・スライダー,ピッチ・シフトで変化するピッチ幅を決めるピッチ・セット,ピッチ時間を決めるタイム・コントロール等を備えています。
49 鍵が 6 オクターブに変化する鍵盤
鍵盤自体の音域は 49 鍵 4 オクターブ。これがタブレット操作により 6 オクターブの音域を同時に出すことができます。
中央 C を中心として UPPER と LOWER に分けられ,ベース表示のタブレットは LOWER のみに働きます。
リア・パネル
ギター・アンプ,ミキサー,オーディオ・アンプなどに接続できるオーディオ・アウトを備え,アンサンブルの音質を調節できるアンサンブル・トーン・コントロールも付いています。
EXT IN 端子により,外部入力にもアンサンブル効果をつけることができます。さらに,トリガー/ゲート・アウトで外部シンセサイザーのエンベロープ・ジェネレーターでコントロールも可能。また,ペダル・スイッチ(DP-1),フット・ボリューム(FV-2)によるピッチ・シフト,サスティン,VCF の外部コントロールもできます。
2.ブロック・ダイアグラム
3.当時の開発室
RS-101〜202 を開発していた頃の、ローランド技術部の設計室。場所は甲州街道沿いで、京王線の下高井戸と桜上水の真ん中辺。
実は倉庫の3階スペースで天井の通気穴は雨が降ると水が入って来るので発砲スチロールでふさいであったような場所。RS-505 の初期段階までがここで設計された。
4.RS-505 の開発室外観
RS-505 から VP-330(ボコーダー)の初期段階までを設計した東京技術部。上記写真より少し下高井戸よりの場所にあった。
元々は自動車修理工場だった所を改造したスペースだった。回路制作室は自動車修理スペースのガレージにあり、コンクリート製の室内では凍てつく冬場の寒さに耐えながら RS-505 やオルガンの VK-9 の試作機が製作された。
また、ローランドのコンピューター利用機器の初期的な実験もこの場所からスタートした(コンピューターのテストは同時期に大阪でもスタートしていた)。
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