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Minimoog:

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   概要  ウンチク  その他
Minimoog はこんな音

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  ウンチク :

●Minimoog はモデル A,B,C というプロトタイプが作られたあと,モデル D が製品版として市場に出された。実際にはモデルDの中でも微妙にバージョンアップが行われている。外見上すぐわかるのはベンダー・ホイールの色と形で,古い順に白,透明,白でベンドしやすいようにギザギザのついたもの,の3種類がある。またケースの木の材質が古いものでは本物の木材で作られているが,後期のものでは合板っぽく色の薄いものになっている。

 よくベンダーがツルツルの白のものが音がよいと言われるが,古いものは音程の安定度が低いという問題点をかかえている。メンテナンスの専門家に言わせると音も安定度も最終バージョンのもの(ベンダー・ホイールがギザギザのもの)が 1 番よいそうだ。


●MOOG 社は経営の関係で名称が何度か変わっており,銘板上に書かれている会社名も R.A. MOOG ,Moog muSonics ,MOOG Music の 3 種類があると言われているが,MOOG Music Inc の会社名が書かれているものが一番多く出回っている。


●一般に出回っている Minimoog ではシリアルナンバー 10175 を境に基盤が変更になっており,内部チューニング等のメンテナンスも違うやり方が必要になる。


●Minimoog の音の魅力は何といっても,その音の太さにある。ちょっといじってみればわかるのだが,どんなセッティングをしても音が太いのである。理由としてあげられるのは,まず VCO そのものの音の太さ,そして VCF に使用されている 24 dB/oct のラダー・フィルターの2つがある。さらに VCO も VCF も妙に歪みっぽい。オーディオ関係では嫌われる歪みだが,こと Minimoog ではこれが(ほとんど偶然?)効を奏している。


●日本ではヤマハ(当時は日本楽器)が取り扱いを行っており,楽器フェア等のイベントもヤマハの仕切りで行われていた。1973 年に科学技術館で行われた楽器フェアではモーグ博士自身がヤマハ・ブースでデモンストレーション演奏を行ったこともある。

 ●レトロ・カタログ大全にある 1973 年の楽器フェアパンフレットを見る


●Minimoog はあまりに有名であるため,この楽器を使っていないキーボード・プレイヤーを探す方が大変なくらいである。代表的なミュージシャンとしてはロック系でグライドやエンファシスを上げた使い方が特長的なキース・エマーソン,リック・ウェイクマン,ベンダーによりギター的な奏法を編み出したヤン・ハマー等がいる。

ヤン・ハマーの演奏が聞けるアルバム。初めて聞いた時にはシンセ入ってないじゃん!と思ったもんです。

実はシンセによるチョーキング奏法だったっていう。


●Minimoog に対抗する機種としては ARP の Odyssey が有名である。両者は外見的にも音的にも全く違ったアプローチをしており,70 年代前半のシンセの代表作として有名である。また,サウンド作りの要(かなめ)ともなるフィルター部分やピッチ安定に関する特許についてはお互いに訴訟沙汰を繰り返していた。


●Minimoog は 3 つのオシレターを装備しており,1 つの鍵盤を押すことによって和音を出すことも可能である。この 3 つのオシレターを色々な音程にセットすることにより,平行に動く長和音によるメロディー等の特殊なサウンドを作り出すことができる。


●Minimoogには有名な裏技的奏法がいくつかある。一番知られているのはアウトプットの信号を,外部インプットに戻してやるフィードバックである。これは当然音が歪みっぽくなり厚くなる。もっともやり過ぎるとトランジスターがぶっとぶかも...


●次に有名なのはベンダー・ホイールとは別に VCO 2 のピッチをいじってダブル・チョーキングのような効果をだすもの。このサウンドはパトリック・モラーツがイエス在籍時に『サウンド・チェイサー』(アルバム『リレイヤー』)という曲の中間部ソロで活用している。ベンダー・ホイールによるチョーキングと違いピッチが狂いやすいのが難点だが通常のベンディング奏法に混ぜて,このダブル・チョーキングを使うとかなりギターっぽい独自のサウンドが作れる。


●他にも Minimoog にコンプレッサーをつなぎアタック感のあるフレーズを作ったり(これはパコパコした音になって気持ちいい!),フランジャーやディストーションを通してさらにギター風の音を作ったりするのも流行した。この辺のサウンドはヤン・ハマーが得意としている。


●Minimoog はとにかく音が太く存在感のある音がする。通常シンセでは太い音を作ろうとすると複数のオシレターをユニゾンにセットして音の厚みを出すことが多いが,Minimoog ではたった 1 つのオシレターの音だけでも充分に音が太く,ソロなどに使用しても音が他の楽器の中に埋もれることがない。そのためか日本で Minimoog はカラオケの仮メロディーの音に使われることが多かった。


●Minimoog が日本に紹介されて間もない頃,左側にあるベンダーを見てチューニング・ツマミがあるのに,なぜこんなところにもうひとつ余計にチューニング用のホイールがついているんだろう?と素朴な疑問を持った人は多かった。当時は,まだシンセによるベンディング奏法というのは一般的ではなかったのである。


● が日本で発売になったのもこの頃だが, Mellotron がテープを使用した機構の関係で約7秒しか音が出なかったのに対し Minimoog では 30 秒しか音が出ないと堂々と書いていた本もあった。当然だがこれは大ウソ!たぶんコントゥア・ジェネレーターのアタック/ディケイのツマミに書かれた 10 Sec という表示を見てサスティンも 10 Sec だと思いこみ(サスティンだけは秒数の設定ボリュームではない),10×3 で 30 秒しか音が出ないと思ったんだろうな。


●Minimoogはチューニングが不安定というのは結構定説であるが,これは後期のバージョンでは大分改善された。しかし回路的な問題の他に Minimoog のチューニングが狂うもうひとつの要素はベンダー・ホイールのボリュームのガリにあったりする。演奏中にベンダーにちょっとでも触ってしまうと音程がガタっと変わってしまうというトラブルはわりと多い。現在では Minimoog を改造して Midi 化してくれるショップもあるので,ベンディングは Midi 側からしか行わないという人は思いきってベンダー・ホイールへの配線をはずしてもらってはどうだろうか?(僕にはその勇気はないけどさ!)


●1973 年の楽器フェア(科学技術館で行われた)ではモーグ博士じきじきのデモ演奏が行われた。機材には MOOG -III,Minimoog ,SonicSix 等が使用され,モーグ博士と助手の2人がリズムボックスに合わせて,ヘイ・ジュードやサマー・タイムを演奏した。モーグ博士の演奏はうまかったかって?うーむ,なんと言いましょうか,リズム・ボックスに対して 1 拍ずれた演奏というのは,やろうと思ってもなかなかできるもんじゃありません!それに合わせて演奏してた助手の方に拍手!


●Minimoog は 1 度にひとつの鍵盤しか押すことができない。2 つ以上押した場合にはそのうちの最低音が優先的に発音する。しかし,1970 年代の音楽雑誌には Minimoog を 2 音(最低音と最高音)出せるように改造する専門店の広告なども見かけられた。ただし現在出回っている Minimoog の中古で,そういう改造がほどこされてるのにはお目にかかったことないけど...

 同じような改造は他にシングル・トリガーをマルチ・トリガーにする改良や,MOOG カスタム・エンジニアリング部によるベンダーのリボン改造などがある。リボン改造で取り付けられるのは Micromoog 等に使用されたのと同じリボンで,これをベンダー・ホイールと交換するというものであった。


●1980年代後半に行われたモーグ博士の講演会で『ホイールが白いのや、透明なのや、ギザギザなのがありますが、どの Minimoog が一番音がいいんでしょうか?』と質問したミュージシャンがいたが(質問しろと、そそのかしたのは私だったりするが)、博士は『あなたがいい音だと思った Minimoog が一番いいんですよ。ただし後期のバージョンになるほど、回路的には向上していると設計者としては思っています。』とかわされましたとさ。


外部とのインターフェイス

CV/ゲートのイン/アウト:あり

 ただし,ゲート(トリガー)は MOOG 独自のS -トリガー規格のため,変換プラグが必要。

MIDI:5G-MIDI 取り付け可能。値段は 10 万円(1995 年)。

 その他に LFO 増設,オシレター・シンク,PWM 回路改造可能。値段は 4 万円。

改造は Five-G 販売のワンオーナー品のみ。