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Odyssey:

見たいパネルをクリックしてください

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   概要  ウンチク  その他
Odyssey はこんな音

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  ウンチク :

● Odyssey には Rev 1,Rev 2,Rev 3の3機種がある。

 Rev 1 はパネルが白で表面の文字が黒になっており,CV/ゲートのインターフェイスがない。
 型番は#2800。

 Rev 2 はパネルが黒で表面の文字が金になり,CV/ゲートのインターフェイスが追加された。
 型番は#2810


 Rev 3 はパネルが黒で表面の文字がオレンジになり,ピッチ・ベンダーがただのボリュームからPPCに変更された。
 型番は#2811。


 なお,PPCは追加ユニットとして別売りもしており,Rev 3 以外にも取り付けが可能であった。



● 3 つのバージョンがある Odyssey だが実際には白パネル( Rev 1)なのに CV/ゲートの端子がついているものもある。



●Rev 3(黒パネルオレンジ文字)の Odyssey のピッチが一番安定しているといわれている。



● Odyssey を含めて ARP のシンセサイザーは音が派手である。
 当時の対抗機種 MOOG 系のシンセも派手だったが, MOOG の音が太かったのに対し, ARP の音はどぎつかった。

 これは VCO のシンクが簡単にできることと,ADSR や S/H ミキサーの信号で VCO のピッチを大きく揺らすことができたのが原因である。

 シンクをかけられた VCO のピッチを大きく動かすと音色がキツくなりギターのフィードバックのような効果が得られるのである。



● Odyssey のユーザーはジャズ系出身のミュージシャンに多かった。
 ジャズ/ロック系(当時はフュージョンという言葉はなかった)ではハービー・ハンコック,チック・コリアが有名。
 特にハービー・ハンコックの出世作となったアルバム『ヘッドハンターズ』の中の”カメレオン”全編に登場する

 コシのあるシンセ・ベースはこの ARP Odyssey Rev.1 によるものである。

 また,ロック系ではディープ・パープルのジョン・ロードが2台の Odyssey をステージ上に並べていたのも有名である。


Odyssey を使ったアルバム色々


●ヘッドハンターズの日本語盤アルバム解説では,『MOOG の軽快なシンセベースが...』といったことが書かれていたが,これは当然間違い。使用機材リストにも MOOG の名前は入っていない。

 当時はシンセサイザー= MOOG という思い違いが多かったのである。ちなみに同様の間違いで多かったのが電子オルガン=エレクトーンというやつ。エレクトーンはヤマハの電子オルガンの名称である。



●日本ではモリダイラが取り扱いを行っていた。1973 年に科学技術館で行われた楽器フェアでは ARP のスタッフであるデーブ・フレディレックス氏によるデモンストレーションも行われた。


● ARP と MOOG は フィルターやオシレターに関する特許で訴訟を繰り返していたが, ARP はまた OCTAVE という会社を特許侵害で訴えていた。

 OCTAVE の Cat というシンセサイザーは Odyssey のコピーモデルであるというのである(特に VCF 部分)。 ARP の発表では,この訴訟は ARP が勝利したということになっているが,一部では OCTAVE が勝ったと言っている人もいる。

 私個人としては Cat の音は Odyssey とは少々違うと思う。 Cat のフィルター・サウンドの方が Odyssey のそれよりもキツイ気がするのである。



●写真を見てもわかるように, Odyssey のパネルのほとんどのボリュームはスライド式でカラーの小さなツマミがついている。このツマミは各色ありとても奇麗なのだが,簡単に,はずれてしまいなくしやすい。もし,ショップで全部のツマミの揃っている Odyssey を見つけたら,あなたは幸せものだ!



● Odyssey は Rev 1 ~ 3 でパネルの色が変わっている。特に Rev 1 の特徴的なホワイトパネルは Rev 2 以降,黒になってしまった。 ARP の機関紙『アルペジオ』によると,ホワイトパネルはステージで照明に当たると反射が多くツマミの文字が判読しにくいという声がユーザーからあったため,デザインを変更したそうである。

 個人的にはホワイトの方がかっこいいと思うんですけど! 『アルペジオ』紙によると,『このようにユーザーの声に常に耳を傾ける ARP !』と自賛しておられました。



● Odyssey の Rev 1 にCV/ゲートを追加した場合には外部のCVに Odyssey のポルタメント・ボリュームでポルタメントがつけられる。しかし Rev 2,3では本体のポルタメント・ボリュームを上げてもポルタメントはつけられない。



● Odyssey を始め ARP 製品は回路をエポキシ・ブロックで固め,内部がわからないようなブラック・ボックスにしている。 Odyssey では VCF , VCA などがこのブロックを使用しているが, Rev 1 では VCFブロックには Minimoog のコピーをしたフィルターが搭載されている。

 したがって Odyssey ではフィルターが壊れると,このブロックごと交換が必要になってしまい,これが手に入らない限り完全な修理はできない。



● Odyssey のフロント・パネルは全て小さなスイッチで信号の流れが制御できるようになっているが,この組み合わせの範囲の広さは素晴しい!パッチ・ケーブルなしでもここまで色々なことができるように設計を考えたのは大したものである。

 たとえば, VCO 1 で VCO 2 にモジュレーションをかけつつ ADSR でもモジュレーションをかける,などといった高度なテクニックも可能なのである。この場合 VCO 1 の信号を一度 S/H ミキサーに送り,そのアウトプット信号を VCO 2 に戻してやりながら ADSR の信号を VCO 2 に送ってやればいいわけである。

 この辺の組み合わせの面白さは当時の対抗機種であった Minimoog をはるかに凌いでいた。



●見た目では Minimoog の方がドッシリしていて,ピッチの安定度が良さそうに見えるが,実際には Odyssey の方が全然安定度が高い。



● Odyssey の鍵盤下に入っている接点バーはなんとギターの弦で代用できる。

 ギターの一番太い弦を買ってきて鍵盤下を通っているバーの部分を交換すれば接触不良を自分で直すことも可能である。

 特に Rev 3 では鍵盤裏側にメンテ用の蓋がついており,交換も簡単である。



● Odyssey と Minimoog はアナログ・シンセ・ファンの定番機種である。どちらか一方を買う場合は自分のやりたい音楽に照らし合わせ,かつショップで両方をいじり倒してから決めるのがいいだろう。

 概して Odyssey は過激なサウンド, Minimoog はプログレ系の厚いサウンドが作りやすい。サンプル&ホールドやシンクが目当ての場合には必然的に Odyssey を選択することになるだろう。というわけで買い度,高し!




外部とのインターフェイ

●Rev 1:

 CV/ゲートのイン/アウト:なし

 CV/ゲートの取り付け改造可能。改造した場合にはポルタメントの前にCVが入るため,外部のキーボードCV にもポルタメントをつけられる。


●Rev 2&3:

 CV/ゲート・イン/アウト:あり


●Rev 1~3:

 MIDI:5G-MIDI 取り付け可能。値段は8万円(1995年)。

 改造は Five-G 販売のワンオーナー品のみ。