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SH-101:

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   概要  ウンチク  その他
SH-101 はこんな音

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  ウンチク :

●ROLAND 最後のアナログ・シンセであり,最後のモノフォニック・シンセでもあり,また最後の SH シリーズでもある。この後 ROLAND はポリフォニック・シンセやフル・デジタルのシンセへと移行していくことになる。


●SH-101 の発売は 1982 年 9 月。この月 Juno-60 が発売になっている。JUNO は音色メモリーも装備した DCO 方式の 6 ボイス・シンセであり,またベスト・セラー機でもある。そんな中で時代遅れの烙印を押されつつ登場したのが SH-101 というわけである。

●SH-101 の広告は左半分に楽器の解説,右半分に SH-101 を持つミッキー吉野というデザインになっていた。それまでもミッキー氏は ROLAND 製品のデモンストレーションには多数出演していたが,広告ではこの SH-101 が最初となる。時期を同じくして広告キャラクターにジャズ・ピアニストのオスカー・ピーターソン氏を起用した。ROLAND がそれまでの機械中心の広告から脱却をはかりだした時期である。


●ROLAND はこの楽器をシンセサイザーの通信教育講座の標準教材として販売した。通信教育のありがちなパターンとして受講契約をしたが長続きせず押し入れに入れたまま忘れられている SH-101 が,あなたの家にもあるのでは?


●現在 SH-101 はハウス/テクノ等の打ち込み派に重宝がられ品薄状態になっており,価格も当時の定価かそれ以上の値段で取り引きされている。世の中わからないものである。今になって人気の出た秘密は楽器の大きさが手ごろであることと,シーケンサー/アルペジェーターのパターンを外部のリズムボックスとシンクして演奏させられる点(Ext Clk In にトリガー信号を送りシンクさせる),そして,シーケンサーのパターンに簡単にポルタメントをかけられる点があげられる。この機能は,やはり人気機種である TB-303 にも共通している。面白いことに TB-303 も,発売当時,不人気機種(それも超がつくくらい)だったのである。


●SH-101 のサウンド自体はチープで妙な音であるが,それを個性といえば個性と言えなくもない。少なくとも発売当時に流行していた音色でなかったことだけは確かである。


●SH-101 のオシレターにはシーケンシャル・サーキットの PRO1 などと同じカーティス社のチップが使用されている。


●シーケンサーは,音を 1 ステップずつ入れていくだけの簡単なものである。入力はロード・ボタンを押して鍵盤を弾いていくだけと,いたって単純で音符の長さは常に一定となる。ただし REST ボタンを押せば同じ長さの休符を入力できる。SH-101 では音符/休符を含めてトータルで 100 ステップのシーケンスを作ることができる。

 また入力するときにレガート・ボタンを押しながら鍵盤を押さえると,その音程と次の音程の間はゲート信号がつながったままのレガートな音が出る(ADSR の設定によっては音が出なくなる)。このときポルタメント・モード・スイッチが AUTO になっていると,レガートになった部分だけポルタメントがかかる。この音にフィルターでレゾナンスをつけてミャオミャオにするとなかなか気持ちがよろしい。

 これが最近はやりの Acid 系シンセ・サウンドの正体である。この機能は MC-4 等のシーケンサーとシステム・シンセを使っても再現できるが,機材をセッティングしたり,データを作ったりするのが結構面倒なのである。この点においては SH-101 は優れていた。


●シーケンサーのデータはバッテリー・バックアップはされているが,テープ等へのバックアップ機能はない。したがってライブで使うようなパターンは作ったあとは間違ってボタンを押して消さないようにしないと,もう1度最初からデータ入力をやりなおすハメになる。


●SH-101 では上記のようにして作ったシーケンスの音をキー・トランスポーズ機能によって簡単に転調することができる(アルペジオでも転調可能)。この場合下の C の音程が基準となり,キー・トランスポーズ・ボタンを押しながらキーを弾くと,記憶したシーケンス(またはアルペジオ)は,そのキーから始まるパターンになる。たとえば C-E-G というパターン演奏中にキー・トランスポーズを押しながら G の鍵盤を押せば,パターンは G-B-D という音程に変わるわけである。この機能は結構一人でも楽しめた。


●シーケンサー/アルペジェーターの演奏速度は LFO のレートで変化する。したがって VCF や VCA にLFO モジュレーションをかけると自動演奏に合わせて音程/音色が変化し,面白い効果が得られる。特に LFO ウェーブ・フォームを RANDOM にして VCF に送ると 1 音ごとに音色の変わるシーケンスが得られ,アナログ・シンセ独特のサウンドが楽しめる。


●SH-101 や Juno-6 以降,ROLAND のベンダーは横方向でピッチ(またはフィルターのカットオフ)を動かし,上方向に押すと LFO モジュレーションをかけられるものになった。SH-101 では LFO モジュレーションはサイン波のみで,矩形波等のモジュレーションはベンダーの操作ではコントロールできない(VCO の LFO モジュレーションを上げれば他の波形でもモジュレート可能)。結局 ROLAND のアナログ・シンセではついに最後まで矩形波でトリルを作る LFO コントロールは実現されないままに終わってしまった。誰か開発者かサゼッションを与えていたミュージシャンにヤン・ハマーの嫌いな人でもいたんだろうか?(矩形波によるトリルで VCO モジュレーションする奏法はヤン・ハマーが多用していた。)


●というわけで,1994 年末から 95 年にかけて値段が高騰している SH-101 だ。どうしても欲しい人は高い値段で買ってもいいだろうが,もうちょっと値段が落ち着くまで待ったほうが得策のような気もする。

 また,SH-101 の場合,どういうわけかビンテージ・ショップではなく質屋で見つけた(それも1万から1万5千円程度で),という人が私の回りには結構いる。上記のような通信講座で届いた SH-101 を,訳もわからず質入れする人が多かったんだろうか?!


外部とのインターフェイス

CV/ゲートのイン/アウト:あり

MIDI:改造は不可能

その他:シーケンサーのステップをコントロールする外部クロック・インあり