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SH-1000:

見たいパネルをクリックしてください

SH1000ALL
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   概要  ウンチク  その他
SH-1000 はこんな音

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  ウンチク :

●SH-1000 はプリセット・サウンドも出せ,自分でも音作りのできるという 2 本立ての機能をもつシンセサイザーである。VCO→VCF→VCA にエンベロープ・ジェネレーター(ADSR)を装備し,LFO,簡単なサンプル&ホールドまでついていた。ただし V/Oct の規格では作られておらず,従って外部からの各種コントロールはほとんど不可能であった。

 後部パネルにフットペダルを接続することにより,VCF のカットオフ・フレケンシーのコントロールとグライドのコントロールが可能。グライドはボタンを押す(またはペダルを踏む)と音程が半音下がり,離すとゆっくり正規の音程に上がっていく機能である。いわゆるオートベンドであるがベンドタイム等はコントロールできず,どうやって使うものなのか,いまだに謎である(ベンダーの代わりに使う,と ROLAND では説明しているが,本当にそうやって使った,という人に私は今まで会ったことがない)。


●音はチープなシンセ・サウンドで太くはないが,独特な音ではある。メインのシンセとして使えはしないが,ちょっとした味付けにはいいだろう。


●70 年代に日本製シンセサイザーを使っている海外ユーザーは少なかった。SH-1000 を使用していたアーティストとしては,ヴァンゲリスやデイル・ジェイコブス,ヨアヒム・キューン等がいた。ヴァンゲリスのアルバムでは『天国と地獄』のレコード(CD では未確認)解説書裏の写真で MOOG Satellite や HAMMOND と共にセッティングされた SH-1000 を見ることができる(ただし写真の左右が逆になっているが)。

 このアルバムの1曲目のベース音は SH-1000 のプリセット音と思われる。パネル解説のベースギターのプリセット音とアルバムの音を聞き比べてみると良いだろう。

●当時高嶺の花だったシンセサイザーが 15 万で買えるのは画期的なことだった。おお!と思い勢いで購入したはいいが,音楽的知識がなくインチキ現代/前衛/プログレに走り,人生を踏み外してしまう輩(やから)が続出したのもこの頃からだ。その頃はまだ録音機材にもいいものがなく,2 台のカセット・デッキでピンポン録音した効果音の塊のような自称”芸術作品”を無理やり友人に聞かせる迷惑な野郎が多かった。現在 35 歳以上の人には,この被害にあった人も多いはずだ。


●当時のシンセサイザーは押さえた音のうち最高音か最低音,またはその両方を発音する 3 タイプがあった。 SH-1000 の場合は低音優先型である。一般的に言ってオルガンの上に乗せて使うタイプのシンセは 高音優先 (和音でメロディーを弾くクセのある人が多く,この場合和音の最高音がメロディーになる場合が多いため),逆にバンドで使うものは低音優先型が多かった(初期の MOOG からの風習で,多くのシンセ音楽が低音優先を意識したフレーズで作られていたため,これにならうシンセが多かった)。


●この CD-ROM には SH-1000 のプロトタイプの写真も入っているが,機能的にはランダム・ノート・スイッチがないくらいで,あとはほとんど製品版と同じであった。現在でもチューニングがちょっと悪いだけでちゃんと演奏できるところは感動もんである。このプロトタイプは機能は SH-1000 であるが,デザインは同社のプリセット・シンセ SH-2000 と同じである。


●開発には製品コストを下げるための涙ぐましい努力が行われ,SH-1000 ではたった 3 個のオペ・アンプしか使用していない。


●製品の発表は電子ピアノの EP-10 とともに,東京のホテル・ニューオータニにて行われた。


●SH-1000 のユーザーとしては他に姫神せんせいしょん(現姫神)や,ファー・イースト・ファミリー・バンドの伊藤明氏等が有名である。


●というわけで,すでに 2 ~ 3 台シンセを持っている人が,さらに 1 台機材を増やして友達に自慢したい場合や,マニアの人にとっては,2 ~ 4 万の間で売っていれば買いだろうが,あくまで音楽中心でシンセを探している人にとっては,どうでもいい機種だろう。


外部とのインターフェイス

CV/ゲートのイン/アウト:なし

MIDI:改造は不可能