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Rogue:

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ROGUEALL
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   概要  ウンチク  その他
Rogue はこんな音

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  ウンチク :

●1981 年はすでにポリフォニック・シンセの時代に突入していた。またすでに数年前から各社の低価格シンセ競争が始まっており,Rogue はその狭間にはさまれて苦戦した。この楽器は最後の正統派モノフォニック・シンセと言える。モノフォニック・シンセとしては価格/機能/サウンドともなかなか充実した機種だったが多くのユーザーの目はポリフォニック/コンピューターに向き始めていたのである。

 ちなみに Rogue とは『悪漢』,『いたずらっ子』という意味がある。


●まずデザインで目を引くのが,それまで鍵盤左にあったホイール類がフロント・パネルについている点である。これは省スペースのためのアイディアであろうが,はっきり言って使いにくい。しかも Rogue の場合ピッチ・ベンダー・ホイールで変化する音程の幅が 1 オクターブもあるため,かなり慣れないとベンディングした音程がとんでもなく大きく変化してしまう。


●音色は相変わらず MOOG 譲りのぶっとい音がする。この価格でこの音なら絶対のオススメと言いたいところだが発売された時期が悪かった。マニュアルのサンプル・チャートには Minimoog や,Prodigy といった人気機種の音を作るセッティングや Opus-3 のサウンドをモディファイするセッティングが記載されている。



●Rogue に使われているパワー・サプライの出力は AC 24V という変な電圧が出ている。このようなパワー・サプライは日本ではほとんど手に入れられないので,なくしたり壊したりしないよう要注意である。本国アメリカでもこれが手に入らないと探しまくっている人がいるようだ。


●パネルは『ここまでやるか!』というところまで簡略化されている。たとえば VCO のウェーブ・フォーム・セレクトや,レンジのスイッチは VCO 1 ,2 共用になっている。レンジでは両 VCO とも 32’,16’,8’にしかできない(片方は 32’,もう片方は 8’といった組み合わせは不可能),また波形も両方とも鋸歯状波にするか,矩形波とパルス波にするかの 2 つしか選べない。

 通常 2 つの VCO を使う場合,もっとも多い音程の組み合わせはユニゾン,5 度,オクターブの 3 種類なのを見越した設計である(5 度,オクターブにしたい場合にはVCO 2 インターバルで音程を変えられる)。また,ウェーブ・フォームも普通に 2 VCO で使用する場合には両方を同じ波形にすることがもっとも多い。

 ユーザーが一番必要とする部分を理解して設計しているという良い例だろう。


●VCO シンクのスイッチには Contoured(コントゥアド)というモードがある。このモードにすると VCO 2 のピッチはコントゥア・ジェネレーターの電圧で強制的に動かされ,シンクによる派手な音色が得られる。この場合のコントゥア電圧の VCO 2 へのかかり具合はフィルターのコントゥア・ジェネレーター・アマウントのボリュームで行う。通常 VCO シンクを使った派手な音作りをする場合,エンベロープ・ジェネレーターの電圧は VCO にも VCF にもほぼ同じようにかける場合が多いという経験から,このような設計がなされたと思われる。


●残念ながら鍵盤が少ないのと VCO レンジが 32’までしかないため,ベース・サウンドを作るときには低音部の音域不足で消化不良を起こすという点はいなめない。通常のエレクトリック・ベースと同じ音域で考えれば,鍵盤はあと半音足りない(エレキ・ベースの最低音は E)。また最近流行のシンセ・ベース・サウンドではさらに低域まで使用している(さらに下の C まで)。したがってレンジ・スイッチがもう 1 オクターブ下(64’)まであってほしかったところである。

 無理やり音域を下げたければ,ベンダーを最低にすれば 1 オクターブ下の音まで出すことはできるが,この場合には当然ベンダー機能に制約が出る。


●CV/ゲートのイン/アウトにはステレオ・ジャックが使用されている。このジャックはゲートの場合,インとアウトを兼ねており,鍵盤を押せばゲート信号が出てくるが,同じ端子に電圧をかけてやれば Rogue のコントゥア・ジェネレーターが作動するという,なかなか過激な設計である。コスト・ダウンとはいえ,この辺はちょっと怖い気がする。


●モジュレーションは三角波,矩形波,ランダムの 3 つが選べる。矩形波ではトリル効果も得られる。残念ながらランダムはオートでしか動かず,鍵盤を押すごとにランダムなフィルタリングをする,といったような技には使えない。

●ミキサー部分はボリュームを 7.5 以上にするとオーバー・ドライブとなる。以前から MOOG 製品のぶ厚い音の秘密はオシレターやフィルターの歪みが原因の 1 つであると言われてきたが,Rogue ではしっかりパネルの表示にまで『Over Drive』と書かれている。要は良い音がすれば歪もうがなにしようがいいわけで,Rogue はその好例といえるだろう。この辺は現在のデジタル技術でも多少は取り入れてほしい要素だ。


●外見上は Rogue とよく似ているがベンダー/モジュレーションのホイールがなく,その代わりにリング・モジュレーターとポリフォニック・セクションのついた MG-1 という機種もある。

 これは MOOG がラジオ・シャックという会社に OEM 供給し,家電ルートで販売したシンセである。これについてはまたいずれどこかで...


●というわけで,太いサウンドが欲しい人には安い値段(5 万前後)で発見できたら『買い』の機種であろう。ただし,パワー・サプライの問題があるので,購入後のメンテについてあやしそうな店では買わないほうがいいだろう。


外部とのインターフェイス

CV/ゲートのイン/アウト:あり

MIDI:5G-MIDI 取り付け可能。値段は8万円(1995 年)。

改造は Five-G 販売のワンオーナー品のみ。