item3 item5

SE-IV (Solina):

見たいパネルをクリックしてください

SolinaAll
item1
item3
item4
item5
item6

    概要  ウンチク  その他
SE-IV(Solina)はこんな音

item10

  ウンチク :

●ストリングス・アンサンブル系キーボードの代名詞にもなった Solina であるが,これを ARP が自社ブランドで発売したのが SE-IV である。 Solina のオリジナル・モデルはオランダの EMINENT 社が開発し SOLINA 社が発売していたが, SOLINA 社が倒産したため ARP が Solina をSE-IVとして販売した。

 したがって, ARP の SE-IV の中味はこの Solina と全く同じものであり,フロント・パネルの ARP の名前の入ったステッカーを剥がすと,下からはしっかり Solina の製品名が現れる。

 ARP では SE-IV という名称をつけたわけだが,誰もこの名前では呼ばず, ARP の Solina として名前が有名になってしまった。この解説でも以後 Solina という名前を使わせていただこう。



●ストリングス・アンサンブルは弦楽を複数の人数で演奏する際におこる音の揺れ(アンサンブル効果)をシミュレートしたキーボードである。このアンサンブル効果を模倣するには音源を複数用いて音の厚みを出す方式と,BBD 等の遅延素子を利用して 1 つの音源の音の数を多く聞かせる方法の 2 種類がある。

 Solina では後者の BBD 方式を採用し,0.2 Hzと 7 Hz で発振する 2 つのジェネレーターと,その波形の位相を120°ずつずらすフェイズ・シフターを使って 3 系統の音がなっているように音を聞かせている。

●鍵盤右にあるアンサンブル・スイッチをオフにして鍵盤を弾くと,何の厚みもない単純な発振音がする。またコントラバスとチェロの音源は下から 1 オクターブと 5 度上のソの音まで有効で,弾いた音程の最低音で発音する。ビオラとバイオリンでは音域が 1 オクターブ違い,音色も多少異なる。トランペットとホルンは元の波形を少しだけフィルターでいじったような音で,アンサンブル・スイッチがオンになった状態ではほとんどストリングスと変わらない音しかしない。



●上記のアンサンブル・スイッチはごく初期の Solina にはついていない。



●当時の弦楽器の代用と言うとメロトロンか, Solina であった。メロトロンは弦楽器そっくりの音の出る楽器として使用され, Solina 系のキーボードは弦楽器っぽい厚みのあるサウンドが出せるキーボード,としてユーザーに使い分けられていた。



● Solina のユーザーで有名なのはハービー・ハンコックや深町純氏であろう。ハービー・ハンコックのアルバムでは『マン・チャイルド』や,『デディケーション』で Solina サウンドを多数聞くことができる。『デディケーション』はキーボードのみによるソロ・アルバムだが,このアルバム・クレジットには珍しく, ARP SE-IV Strings Ensemble という記載がある(ただしPE-IVとミスプリになってるが...)。他の Solina ユーザーとしてはジャン・ミッシェル・ジャールやジョン・タウト(ルネッサンス)などがいる。



●ストリングス・アンサンブル系のキーボードは高域のよく伸びた鋭く爽やかな音がする。そこでこれにフェイズ・シフターをかけると音がグルングルン回りとても気持ちがよろしい! 特に Solina はフェイズ・シフターのかかりがよい。ストリングス系におすすめのフェイズ・シフターは何といってもミュートロンのバイフェイズである。このエフェクターは昔から中古でも値段が常に6万~10万くらいはしていたという人気機種である。



●リア・パネルにはゲート・アウトのコネクターもあるので, MOOG Rogue 等の外部インプットとトリガー・インのあるシンセにつなげればフィルターをいじったりして結構遊べる。

●OEM 供給元のエミネント製のオルガン型のソリーナ(と言っていいのか)は、ジャンミッシェル・ジャールがスタジオライブでも使用している。



●日本ではモリダイラが取り扱っていた。現在はかなり安い値段で市場に出ていることもあるので,由緒正しい BBD 方式のストリングス・サウンドが欲しい人や,プログレッシブ・ロック派の人は買いである。



外部とのインターフェイス

 CV/ゲートのイン/アウト: ゲート・アウトのみあり

 MIDI:5G-MIDI 改造可能。価格は7万2千円(1995年)。

 改造は Five-G 販売のワンオーナー品のみ。