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TR-808:

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TR808ALL
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   概要  ウンチク  その他
TR-808 はこんな音

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  ウンチク :

●この楽器では,それまでのリズム・マシンのように特定のリズム・パターンはもたず,全て自分でパターンを作る。また,作ったパターンのセーブ/ロードの機能もないため,市販のパターン・ライブラリーなどを使うこともできなかった。

 新しいパターンを多数作る場合には涙を飲んで古いパターンをデリートする必要があった。


●誰が言い始めたのかは知らないがこの楽器の愛称は”ヤオヤ”である。当然 808 の名前から来ているわけだが,この愛称は 80 年代前半から使われていた伝統ある(?)ものだ。


●808 では 1 パターンに A と B のリズム・バリエーションがあり,さらに A/B のそれぞれに 1st パートと 2nd パートという 2 つのパートが存在する。

 それぞれは 16 ステップの分解能をもち,2 つのパートをつなげて 1 つのパターンを作るようなセットをした場合,1 パターンで 2 小節のリズムを作るか,1 小節を 32 ステップの分解能にすることができる。

 また,パターン・ライト・モードでパターンの書き込み中にパターン・クリアのボタンを押しながら適当なステップのボタンを押すと,パターンの長さはそのステップまでの繰り返しとなる。これを使うと,1 パターンの長さを 7 ステップにしたり 11 ステップにしたりという,それまでのリズム・マシンではほとんど不可能だった変拍子のリズムも作ることができた。


●808 では作ったパターンを並べて 1 つの曲にすることができる。これをコンポーズと呼んでいるが,コンポーズは,実際に 808 を演奏させながらパターン・スイッチを切り替えて行く,リアル・タイム・ライト方式であり,演奏中に小節を数え間違えないように...ボタンを押し間違えないようにと,メチャクチャ緊張する作業であった。

 一応エディット機能もあるが,これもコンポーズとほぼ同じで演奏中に直したい場所が来たら,そこで正しい番号のパターン・スイッチを押すという原始的なものだった。しかも,曲の長さを間違えて登録してしまうと修正ができず,泣く泣く最初からコンポーズをやりなおすという悲劇が待っていた。


●現在ではファクトリー・プリセットなどというものがあり,楽器の音色やパターンをメーカー出荷時のものに戻すことができるが,808 をファクトリー・プリセットに戻すには,もう 1 度ファクトリー・プリセット表の通りにリズム・パターンを作り直さなければならない!


●現在 808 は,多くの音楽のメイン・リズムとして使用されているが,発売当初はこの中のハンド・クラップの音だけが重宝され,他のリズム音が使われることはあまりなかった。

 808 発売以前,ハンド・クラップはレコーディング・スタッフが手を真っ赤にして生で叩くのがほとんどだった(箱の中に人間の手を模倣した手袋がたくさん並んでいる生クラッパーがあるという噂を聞いたことはあるが,私は使ったことがない)。このやり方では,ひとりでもリズムの悪い人間がいると即,録音しなおしになるわけで,808 のクラップ音登場は多くのスタジオ関係者に歓迎された。


●808 をハンド・クラップ・マシン(もちろんそれ以外の音色も可)として使用するにはパターンを 4 ステップほどの短いループにセットし,テンポを最高にする。そしてパターンの 1 ステップ目でクラップ音が,4 ステップ目でリム・ショットが鳴るようにセットする。この状態でリア・パネルのスタート/ストップ・ジャックにマルチ・アウトからリム・ショットの音をつないでやる。そしてリム・ショットのレベルを最大にする。

 このセットで,スタート/ストップ・ボタンを押すと,1 ステップ目のクラップ音が鳴り,4 ステップ目のリム・ショットが鳴るわけだが,マルチ・アウト・ジャックにプラグが差し込まれた状態ではリム・ショットの音はミックス・アウトでは鳴らず,代わりにその音の信号がスタート/ストップ・ジャックに送られ,808 を無理やり停止させてしまう。

 これで,808 はスタート/ストップ・ボタンを押すたびにクラップの音が出るクラップ・マシンに早変わりするというわけだ。


●上記の方法はスタジオ系のシンセ・レンタル屋さんの間では有名だったが,あまりやり過ぎると内部の半導体を壊してしまう。一時期これが原因で多数の 808 が ROLAND の修理部にもち込まれたという。

●808 のハンド・クラップ・サウンドが好評なのに目をつけた某楽器店は,808 の回路をほとんどコピーしたクラップ・マシンを発売した。しかし後になって回路のコピーが発覚し,多額の賠償請求があったのなかったの...



外部とのインターフェイス

CV/ゲートのイン/アウト:アクセント/クラップ/カウベルのトリガー・アウトあり。

MIDI:5G-MIDI 取りつけ可能。値段は7万2千円(1995 年)。

改造は Five-G 販売のワンオーナー品のみ。