概要:
楽器について
1980 年に発表されたショルダー・タイプのキーボード。当時はまだ Midi がなかったため,本体の中に電源を除く全ての基盤が入っていた。音源としては 2 VCO のモノフォニック・シンセサイザー部の他に,矩形波によるフル・ポリフォニック音源部が用意されており,リード/バッキングの両方のパートをこなすことができた。
鍵盤はタッチセンサーもあり,出たがりなキーボード・プレイヤーにはウケがよかった。ただしメチャ重いのでステージでの長時間使用は肩凝りの元であった。
当時の定価
本体価格(電源ユニットを含む):$1400
国内価格:45万円(ブラック),55万円(ホワイト,レッド)
仕様:
●電源部:
国内仕様モデル 338A 100 ~ 127 V/60 Hz
輸出モデル 338BX 200 ~ 260 V/50 Hz
電力:20W 以下
●コントローラー:
キーボード:44 鍵(F ~ C)モノフォニック高音優先。グライド・タイム 2 ミリ秒以下~ 3 秒
チューニング幅:±3 セミトーン
ピッチ・リボンの音程変化幅:± 5 度以上
離鍵後のキーボード電圧の安定性:10 秒で 2 ミリボルト以下の変化
モジュレーション・オシレター・レート:0.3 Hz ~ 30 Hz
モジュレーション・オシレター波形:三角波,矩形波,サンプル&ホールド
アマウント・オブ・モジュレーション: オシレター:0 ~ 1 オクターブ フィルター:0 ~ 4.5 オクターブ
アマウント・オブ・フォース・ベンド: オシレター:0 ~ 1 オクターブ フィルター:0 ~ 4.5 オクターブ
オート・トリガー:モジュレーション・オシレターによるコントゥア・ジェネレーターの起動が可能
●オシレター1:
最低 F(32’)の周波数:43.65 Hz
スケール精度:44 Hz ~ 1.5 Hz で 0.2%
温度補償:32°F ~ 100°F の幅で 0.02%/°F 以下
波形:鋸歯状波,三角波,パルス波
パルス波の幅:10%
オクターブ切り替えスイッチ:32’,16’,8’
オクターブ切り替えスイッチの周波数精度:0.3%
●オシレター2:
最低 F(16’)の周波数:87.31 Hz
スケール精度:88 Hz ~ 3 kHz で0.2%
温度補償:32°F ~ 100°F の幅で 0.02%/°F 以下
波形:鋸歯状波,三角波,矩形波
オクターブ切り替えスイッチ:16’,8’,4’
オクターブ切り替えスイッチの周波数精度:0.3%
オシレター1とのチューニング:± 5 度以上
●ノイズ:
タイプ:ピンク・ノイズ
●リング・モジュレーター
タイプ:デジタル・エクスクルッシブ OR
インプット:オシレター 1 & 2
インプット波形:矩形波
●オシレター・シンク
オシレター 2 の波形をオシレター 1 の波形でシンク。シンク・モードの場合には鍵盤のフォース・センサーの電圧はオシレター 2 に送られる。
●コントゥア・ジェネレーター
コントゥア・ジェネレーター数:2(アッテネーター経由の VCF 用と VCA 用)
アタック・タイム&ディケイ/リリース・タイム:1 ミリ秒 ~ 10 秒
サスティン・レベル:0 ~ 100%
●VCA
VCAクローズ時のシグナル漏れ:- 50 dBm 以下
コントゥア信号によるリジェクション・レシオ:50 dB
●VCF(ローパス)
タイプ:24dB/オクターブ
フィルター・キーボード・トラッキング:3 ポジション(0,1/2,1)
コントロール電圧をかけずにVCFを単独発振させた時の周波数:666 ± 50 Hz
フィルター・カットオフ周波数幅:8 オクターブ
コントゥア・ジェネレーターによる VCF カットオフ変化幅:最大 8 オクターブ
ネックのフィルター・コントローラーによるカットオフ VCF 変化幅:最大 8 オクターブ
レゾナンスによる自己発振可能
●ポリフォニック・オシレター・バンク
最低Fの発振周波数:87.31 Hz
波形:矩形波
チューニング幅:± 3 セミトーン
44 鍵・ポリフォニック
●パワー・サプライ/インターフェイス・ボックス
オーディオ・アウトプット・レベル:0 dBm
オーディオ・アウトプット・インピーダンス:1KΩアンバランス
外部 CVアウト:1V/オクターブ
外部トリガーアウト:S -トリガー
●寸法および重量
ショルダー・キーボード部:
13.6cm(H)×32.7cm(D)×118.8cm(長さ)
重量:6.35 kg
パワー・サプライ/インターフェイス部:
9.2cm(H)×20.3cm(D)×48.2cm(W)
重量:3.18 kg
パネル:
ショルダー・パネル部:
左からチューニング,グライド,モジュレーション,オシレター,ミキサー,フィルター,コントゥア(エンベロープ)・ジェネレーターの 7 つのセクションがある。
チューニングにはシンセ部とポリフォニック部のチューニング・ツマミが,グライドにはグライド・タイム(ポルタメント)の設定ボリュームがある。
モジュレーションには LFO とその信号の送り先を決めるツマミが配置されている。
オシレターには 2 つのオシレターがあり,シンクもかけられるのでギター風のハデな音色も作ることができる。
ミキサーでは VCO 1/VCO 2/ノイズ/リング・モジュレーター/ポリの 5 種類の音をミックスする。
フィルターは 24dB/oct のローパス・タイプ(当然 MOOG 特許のフィルター)で,カットオフ,エンファシス,アマウント(コントゥア・ジェネレーターのかかり具合),キーボード・トラックのツマミがある。
コントゥア・ジェネレーターはフィルター用と,ラウドネス(VCA)用の 2 つがあり,それぞれアタック,ディケイ/リリース,サスティンのボリュームがある。リリースBOTH をオンにすると 2 つのコントゥア・ジェネレーターともリリースがつくようになる( Minimoog と同じ)。
ショルダー・ネック部:
ネック部分にはギター風の演奏を可能にするコントローラー類が装備されており,フォース・センサー(キー・プレッシャー)関係,グライド・スイッチ,ピッチ・ベンダー・リボン,モジュレーション・ホイール,フィルター・コントロール,ボリュームがついている。
電源/インターフェイス部:
インターフェイスには,ショルダー部との接続コネクターやアウトプット端子の他に,CV/ゲート・アウトと CV のキャリブレーション用のボリュームがついている。
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