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Stratus:

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STRATUSALL
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   概要  ウンチク  その他
Stratus はこんな音

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  ウンチク :

● CRUMAR のキーボードは日本ではあまり馴染みがないが,海外では比較的ポピュラーである。 Stratus は同社のストリングス/ポリフォニック・シンセ/オルガンの Trilogy からストリングス部分とメモリー・スイッチを除いたバージョンである。 Stratus の機能としてはポリフォニック・シンセがメインになっており,パネルを見てもわかるとおり,オルガン専用にはたった 4 つのボリュームがあるだけで,細かい波形やエンベロープは調整することができない。


●シンセ部分はフル・ポリフォニック仕様になっている。ストリングス/シンセにありがちな,使えないオマケシンセと違い, Stratus のシンセ部分は(問題がありながらも)比較的充実している。オシレターは 2 つあり,チューニングはユニゾンから 5 度以上まで広く変えられる。このオシレターはオルガンと共通のため,シンセ部分とオルガン部は同じ音源を使うことになる。一般的なストリングス/シンセではストリングス部分のオシレターをシンセに流用しているが, Stratus ではシンセの音源をオルガンに流用しているという感じであり,それだけ音作りは色々とできるようになっている。


● 2 つあるオシレターはシンクをかけ音色の変更をすることもできるが,このシンクは一度オンにしてしまうとオシレター 2 のピッチを変えても音色は全く変わらない。したがって,まずオシレター 2 のピッチを適当に選んでおき,シンク・スイッチを入れて音色を変える,という限定的な使い方しかできない。


●オシレターの波形はウェーブ・フォーム・セレクションで選ぶ。基本波は鋸歯状波と矩形波の 2 つだが,オルタネートSAW/SQ のスイッチをオンにすると,鍵盤を弾くごとに鋸歯状波と矩形波が交互に使われる。このときの波形の切り替わりをシングル(鍵盤を押さえながら他の鍵盤を押さえても波形は切り替わらない)にするか,マルチ(鍵盤を押さえるごとに必ず波形が切り替わる)にするかを選ぶのがイネーブルのスイッチである。ただしオルタネート・モードでイネーブルがマルチになっていても,鍵盤全体でのオシレター波形は鋸歯状波か矩形波のいずれかとなる。したがって C の音は鋸歯状波で, E の音は矩形波になるというようなことはない。

 もし上記のモードで C の音が鋸歯状波で,その音を押さえながら E の音を弾くと C も E も矩形波に切り替わってしまうのである。


●オシレター 2 にあるオクターブ・モジュレーションでは,LFO の速度に合わせてオシレター 2 の音程が弾いた音程と,オクターブ下の音程の行ったり来たりを繰り返し,簡単なオクターブ伴奏パターンにも利用できる。


●オシレター・グライド・セクションではピッチが弾いた音程より下(または上)から正しいピッチにグライドしていく効果を作れる。アマウントではその深さを,スピードではピッチ・グライドにかかる時間を,ディレクションでは 2 つのオシレターがどのようにグライドしていくかを選ぶ。

 ディレクションA では 1,2 両方のオシレターは低い音程から弾いた音程に上がる。B では同じ効果がオシレター 2 のみに有効になる。C ではオシレター2のみが逆に高い音程からグライドして弾いた音程に移行する。D では同じ効果がオシレター1,2 両方に有効になる。

 この効果を利用すると,ブラス系のサウンドを作るときに音にメリハリをつけることができ,オーバーハイムのポリフォニック・シンセが得意とするようなブラス・サウンドを作ることができる。



●ポリフォニック・シンセは結構使い道が広いが,いいことばかりではない。1980 年代初頭ではまだコンピューター方式のキー・スキャニング技術が確立されておらず,簡単な機構でポリフォニックを実現しようとすると,必ずどこかでおかしな動作をしてしまうのである。

 ストリングス/シンセでよくあるのは VCF/VCA を 1 個しか搭載していないため,マルチ・トリガー・モードにして演奏すると,鍵盤を押さえた状態で別のキーを押さえたとき,元々押さえていた音にまでトリガーが働いてしまう。結果として音が2度打ちしたような状態になってしまい,まともにフレーズ(特にリズミックなもの)は演奏できなかった。

  Stratus ではそのようなひどい 2 度打ちは起こらないが,代わりにオクターブ関係にあるキー(たとえば C3 を押さえていたら C2 とか C1 のように)を演奏した場合に,その音だけが 2 度打ちになってしまう。よくある演奏の中で言うと,左手でベース音をオクターブで弾き,右手でコードを弾いたりする場合,右手のコードの中に左手で弾いたのと同じ音程が含まれていると,その音を打ち直しをしてしまう。この打ち直しはストリングス/シンセの全音が打ち直してしまうような非音楽的な問題にはならないが,注意して聞くと結構気持ち悪い。



● Stratus のオルガンは早弾きをすると,なぜか前の音がわずかずつ残ってしまい,あまり実用には使えない。シンセ音源のサポート程度に利用するのがよいだろう。



●リア・パネルにはインターフェイスという部分にシグナル・アウトというジャックがある,このジャックからは非常に長いリリースのついたオシレター直の音が出ている。普通ならこれを外部シンセにつなげて音をさらに細工する,ということをするのだろうが Stratus にはゲート信号のアウト端子がないため,外部のシンセにつないでもあまり意味がないだろう。



●オルガン/シンセとしては比較的よくできた機種だと言えるが,買いか?と言われると難しい。Midi 改造できないので手弾きの不得意な人には無用だろう。もし,かなり安い値段で手に入るなら買ってもいいだろうが,そうでなければ他のポリフォニック・シンセ専用機を買ったほうが得である。


外部とのインターフェイス

CV/ゲートのイン/アウト:なし

MIDI:改造は不可能