Analog Synthesizer Lecture

タム(Tom)サウンドの作り方

a:作り方/その1   b:作り方/その2

b:作り方/その2、TR-909 風の場合


・タムの波形を分析すると3つのサイン波から成り立っている、という説があります。これ、本当かどうか真偽のほどは良くわからないんですが、テクノでお馴染みローランドの TR-909 のタムはこの論理を元に音を作っています。


・方法は、タム1で説明したセットの VCO の数を増やすという事で、ブロックダイアグラムで示すと以下のようになります。

tomdiagram


・ここでは、3つの VCO のスィープの度合いを、まとめてコントロールできるように、Mixer 2 を使っています。


 


Moog Modular V で TR-909 風のタムサウンドを作ってみる

・では Moog Modular V で3つの VCO を使った TR-909 風のタムサウンドを作ってみましょう。

 

・ビデオの解説にある通り、このケースでは3の VCO のピッチをどうするか?がサウンドの鍵になります。

・3つの VCO のピッチが近過ぎると音程感がハッキリしてしまいます。

・また音程が長三度のように聞き慣れた音程関係になっていると、和音の感じがハッキリ出過ぎて不自然なサウンドになります。

 

・この音作り方式では TR-909 でもそうであったように、中タムの音は結構良い感じです。

 しかしロータムでは低音が強調されたブーミーな音になり、重くてキレの悪いサウンドになってしまいます。この場合には、EQ でローをカットすると良いでしょう。

 逆にハイタムではピッチ感がハッキリと出てしまい、不自然な感じになります。

 特に一番高い音程にセットした VCO のピッチ感がハッキリ出る傾向にあります。


・音域による雰囲気の違いはあくまで本物のタムに比べての話ですから、ユーザーの好みに合わせて適宜パラメーターを調整して、面白いサウンドを作れば良いでしょう。

・また音域によってノイズの成分を多くしたり、VCO にノイズでモジュレーションをかけてピッチ感を少なくする等、色々な方法が考えられると思います。



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