PE-1000:

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   概要  ウンチク  その他
PE-1000 はこんな音

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  ウンチク :

●PE-1000 で演奏したのではないか?と思われるのが下の CD。この中のパルスターって曲が有名なんだけど、そのバッキングで細かくコードを刻んでるのが PE-1000 のようだ。おそらくペダルをつないでフィルター(トラベラー)をコントロールしながら弾いてるんだと思うんだけど、凄いうまい!ヴァンゲリスは演奏能力よりもトータルなサウンド面での評価が多いけど、そんな事はない!と証明してるような演奏。


●PE-1000 はプリセット・サウンドを中心としたポリフォニック・キーボードで,非常に面白い考え方をした機種である。この楽器は 60 個の独立した発振器をもつ。つまり 1 つの鍵盤に 1 つのオシレターがあるわけである。したがって 1 つ 1 つの鍵盤の音に厚みがあるわけではない。そこで同機ではオクターブ・カプラーとピッチ・エクスパンドという機構で音に厚みをつけている。オクターブ・カプラーのボリュームを上げていくと,弾いた鍵盤のオクターブ上の音が一緒に鳴りだす。これだけでもオクターブの音程関係にある 2 つの発振器が一緒に鳴るわけなので音が厚くなる。

 次にピッチ・エクスパンドだが,このボリュームは上げていくと下から 3 つ目の F# の音を中心に F# より下の音は正確なピッチよりもより低く,上の音はより高くなる。高低の度合いは F# から離れるほど大きくなるように設計されている。ボリュームを最大に回しきると最高音,最低音でそれぞれ正規のピッチよりも半音も音程が変わる。

 そこでオクターブ・カプラーを上げ,ピッチ・エクスパンドを 4 ~ 5 くらいにすると,それぞれの鍵盤で弾いた音程より少しだけピッチのずれたオクターブ上の音が一緒に鳴り厚みのある音が作れるというわけである。しかも 60 個のオシレターにかかるビブラートはそれぞれ独立しているため,ビブラート・デプスが上がっていると,それぞれの音のビブラートが違ったタイミングでかかり,さらに厚みのある音が作れる。

 ただし,オクターブ・カプラーは単純に弾いた鍵盤のオクターブ上の発振器の音を混ぜているだけなので,一番上のオクターブ(F ~ E)の音はカプラーの意味がなくなり,厚みがなくなってしまう。なぜなら発振器の数は 60 しかないからで,もし一番上のオクターブにもカプラーで音が重なるようにするためには,さらに 1 オクターブ分の発振器を追加しなければならないからである。


●音に厚みをつけるためのピッチ・エクスパンド機能だが,これを 10 まで上げると上下に半音ずつ(=全音分)音程が狂い,とんでもないサウンドが作れる。特に一番上のオクターブはカプラーでも音が重ならないため凄まじく気色悪いサウンドになる。何も知らないでピッチ・エクスパンド 10 にセットされた PE-1000 を弾いたら故障と思うことは間違いないだろう。これに遅めのビブラートを深くかけ,エコーでもかければ効果音としてかなり使えそうである。


●プリセットはクラビコード,ハープシコード,ピアノ,エレキ・ピアノ,ブラス,パイプ・オルガン,ストリングの 7 種類で,これらはトラベラーの H/L とピッチ関係のボリュームで音を変えることができる。残念ながらキーボードにタッチセンスはないが,ハープシコードやエレキ・ピアノは比較的いい音がしている。特にエレキ・ピアノはウイリッツァー系のピアノ・サウンドが得られて面白い。



●プリセットの右端のコントロールを押すと,パネル上の全ての機能が使えるようになる。オシレターの発振波形は矩形波,パルス波 2 種,鋸歯状波,コーラスで,この音をトラベラーによりフィルタリングする。トラベラーは上がハイパス,下がローパスになっており,それぞれにピーク(レゾナンス)をつけることができる。またエクスパンドを上げればエンベロープ・ジェネレーターのカーブでフィルターを動かすことができる(実際にはフィルター特性も変化する)。さらにソフトというボリュームがあり,トラベラーに対して簡単なハイカットのフィルターを付加することができる。

 トラベラーのハイカット側はフット・ペダルからコントロールすることもでき,クラビネット系の音色にペダルの組み合わせでリズム・パターンを刻むと結構面白い。



●発売当時の KORG 発表の資料によると,PE-1000 のユーザーは堀利之(ローズマリー),佐藤允彦,宮川泰,加瀬邦彦,伊藤明,ツトム・ヤマシタとある。中には 35 歳以上の人にしかわからない人名もありますが...



●単体の音としては PE-2000 の方がアンサンブル系サウンドという感じはするが, PE-1000 ではピッチ・エクスパンド等を利用したとんでもないお遊びができるのがポイントである。本体はケース一体型で蓋部分にペダル/ケーブル関係が全て収納できるようになっているが,全部を入れて蓋を閉めるとメチャクチャ重くなるので,ご注意を...



●PE-1000 は買いか?というと,まあお金に余裕があって現在持ってるキーボードに飽きちゃったマニアな人にはおすすめかもしれないが,手弾きの苦手な人は買ってもしょうがないでしょう。でも,中古市場でも値段はかなり安いので懐かしさのあまり,フラフラっと買ってしまう人はいるかも(私のことです)。もし PE-2000 と 1000 が同じくらいの値段で売られていたら 2000 を買った方がお得です!


外部とのインターフェイス

CV/ゲートのイン/アウト:なし

MIDI:改造は不可能