item1 item4 item5 item6 item7 item8

Syntha Sound:

見たいパネルをクリックしてください

synthaall
item1
item3
item4
item5
item6
item7
item8

   概要  ウンチク  その他
Syntha Sound はこんな音

item12

  ウンチク :

●1970 年代はまだまだキーボード市場が手探り状態にあり,いろいろなメーカーから正体不明のキーボードが発売されていた。しかも,これらメーカーはそれまでピアノやオルガンを作っていたようなメーカーであったり,音響機器を作っていたようなメーカーであったりと混沌とした状況であった。そういったメーカーが作った謎のキーボードはどういうわけか楽器店よりもデパートなどのピアノ売り場の特別セールなんかによく登場していたのである。

 70 年代はまだまだ各家庭に 1 台弾きもしないピアノかエレクトーン(電子オルガン)が装飾品代わりにある,というのが日本の家庭事情であった。デパートではそういったターゲットに的をしぼったピアノ・バーゲンセールを 1 年に 1 回くらいは催していたのである。この手のバーゲンには当然ヤマハ,カワイといった定番商品が多数陳列されていたが,ごく数台だけ海外の製品や日本の電子楽器が並んでいるのが常だった。おそらく商品入荷の際に新しいもの好きのオジサンが訳もわからず仕入れたのだろう。

 少なくとも都内の大手デパート(日本橋東急,銀座松屋,銀座三越あたり)では結構こういうレアものに出会えるチャンスがあったのである(お金無くて買えなかったけど)。

  BALDWIN も海外の有名なピアノ/オルガン・メーカーであったため,このような経緯で日本に入荷した形跡がある。事実 Synhta-Sound の銘板にもシンセサイザーではなく,『エレクトリック・オルガン』という分類名が書かれている。


●この手のキーボードのオペレーションにアナログ・シンセのような論理性を求めてはいけない。

なんだかよくわかんないけど,何かレアでいい! これだけである。


●音源にはプリセット,フルート,スペクトラム・シェイパーの 3 種類がある。プリセットはトランペット,トロンボーン,サックス,チェロだが,フルートはオルガンのドローバーと同じようなサイン波合成で音が作れる。

 フルートのサイン波は 16’,8’,4’,2+2/3’,1+1/3’の 5 種類があり,これらを組み合わせて音作りが可能となっている。この音色にはスペクトラム・シェイパーにあるモード・ボタンでエンベロープをつけることができる。モードがパーカッションのとき,2+2/3’と1+1/3’のエンベロープはショート・ディケイに,16’~ 4’の音はサスティンがついて音が残り,ビブラフォンのような音を作ることができる。右左 2 列のモード・ボタンの組み合わせ方は論理性が全くない。

 スペクトラム・シェイパーではフィルターやエンベロープ・ジェネレーターにより色々な音を作ることができる。音源のレンジはオクターブ・ボタンで選ぶが,これらは複数押すと 2 つの音域が一緒に鳴ったり( 32’と 4’を押したとき),音色が変わったりする( 32’と 16’を押したとき)。

 インプット・ボタンはオシレターのウェーブ・フォーム(フィルターのインプットに入れる波形を選ぶという意味でこういう名称になっているようだ)を選ぶ。ボタンには矩形波,パルス波,鋸歯状波の 3 つがあるが,どういうわけか矩形波とパルス波を一緒に押すとノイズが,パルス波と鋸歯状波を一緒に押すとストライクと書かれた非常にショート・ディケイの雨垂れ風効果音のような音になる。さらに 3 つのボタンを一緒に押すと(かなり押しにくいが)ショート・ディケイのノイズ音が作れ,パーカッション系の音作りに利用できる。

 アウトプット・ボタンはフィルターのモードを決めるもので,ハイパス・フィルター,バンドパス・フィルター,ローパス・フィルターの 3 種類のフィルター・タイプが選べるが,このボタンもまとめて押すことができる。たとえばハイパスとローパスを一緒に押すとバンド・リジェクト(ある周波数だけをカットしたようなフィルター特性)のサウンドを得ることができる。

 Δフレケンシー・ボタンはフィルターのカットオフ・フレケンシーを動かすソースを選ぶボタンである。キーボードは通常のシンセのキー・フォローと同じ機能,エクスプレッション・ペダルではリア・パネルにつなげたペダルによってカットオフを動かせる。ただし通常売られているペダルを接続するとペダルを踏み込んだ場合にカットオフが下がってしまう。オートではモード・ボタンで選んだエンベロープ信号でフィルターが動く。

 モード・ボタンはエンベロープ・ジェネレーターのセレクト・ボタンで,リピート,パーカッション,ノーマルの列と,サスティン,スロー・アタック,ファースト・アタックの 2 種類のボタンの列があり,それぞれの組み合わせで数種類の組み合わせのエンベロープを作ることができる。


●スライドのボリュームはシンセのポルタメントと同じであるが,この機械ではポルタメントは鍵盤をレガート演奏したときのみにかかるように設計されている。


● Synhta-Sound の写真を見たときに最も注目を集めるのはトリガー(TRIGGER)とトレモロ・オフ(TREM OFF)の木製バー・スイッチであろう。トリガーは右端のモード/トリガー・バーのボタンがオンになっていると,バーを押すごとにエンベロープ・ジェネレーターが働き,音がでる。何のために使うのかはほとんど謎に近いが,ノイズの音でスネアっぽい音を作っておき,このバーを使ってリズムをとる...なんていうのに使うのではなかろうか?

 またトレモロ・オフは押すことによってビブラートをストップすることができる( Synhta-Sound ではなぜかビブラートのことをトレモロと言っている)。こちらのバー・スイッチはトリガーの方よりさらに謎である。押したらビブラートがかかるというなら話はわかるんだが...


●トレモロがボタンを押すとオフになる,というのと同じように右端の下にあるプリセット,フルート,スペクトラムの 3 つの音源のオン/オフ・ボタンもセレクト・ボタンではなく,キャンセル・ボタンという仕様になっている。つまり押されているボタンの音がキャンセルされて音が出なくなるわけである。かなり慣れてもオン/オフの状態がわからなくなります,ハイ。


● Synhta-Sound にはリバーブ・ユニットが入っており,演奏にリバーブをかけることができる。しかし入っているのはスプリング・リバーブのため,気をつけて弾かないと演奏中に『ガコーーーーン』とスプリングが振動した音が入ってしまう。ただし,このリバーブ・ユニットはかなり質の良いものを搭載している。


●まあそういうわけで,持っていると心暖まる 1 台であります。何かの間違いでデパートや質屋で,この手の物を発見したら迷わずに買いましょうね!


外部とのインターフェイ

CV/ゲートのイン/アウト:なし

MIDI:改造は不可能(改造できる人がいたら連絡してね!)