アナログシンセサイザーには、シンセサイザーの各機能ごとにモジュール化されたモジュラータイプと、一般的な接続が内部結線されたステージタイプ(この呼び方はまちまちでコントロールタイプと呼ばれることもある)、またその中間に位置するセミモジュラータイプ(基本的な部分は内部結線されているが、パッチで変更も可能な機種)、さらにオルガンの第三鍵盤として使用される事の多いプリセットタイプ、そしてプリセットとステージタイプの中間の物もある。
まとめると、
1.モジュラータイプ
2.セミモジュラータイプ
3.ステージタイプ
4.プリセットタイプ
5.プリセット/ステージタイプ
という感じか?
モジュラータイプのシンセでは各モジュールをパッチケーブルで接続して音作りをする。そのため音を作るのは少々面倒だが、非常に複雑なパッチを作る事が可能である。近年ではインターネット/コンピューターの発達で小規模なモジュラーシンセを作るガレージメーカーが世界中に登場し、1960〜70年代のアナログ・シンセブームの頃よりもずっと面白いモジュールが手に入るようになっている。 ステージタイプのシンセでも、内部結線をスイッチで切り替える事により多彩な音作りを可能にしている機種もある。
以下にその代表的な物をピックアップしてみた。
1.モジュラータイプのシンセ:
中央が Moog IIIc左上が Moog System-12 Roland の System-700 Roland の System-100M
白いメロトロンの下が Paia 美女とシンセサイザー 美女とシンセサイザーその2 その右がDoepfer のモジュラー 本人&事務所了承済
2.セミモジュラータイプのシンセ:
モジュラータイプに近い ステージタイプに近い ポリフォニックのセミモジュラー EML Electro Comp 101 Korg MS-10 Korg PS-3100
3.ステージタイプのシンセ:
ステージシンセの代表格 Minimoog Minimoog の対抗馬 Arp Odyssey Roland SH-7
4.プリセットタイプのシンセ:
Korg Mirco Preset イタリア製オルガンにMoog のプリセット Arp Soloist シンセSatellit を組み合わせた CDX Organ 写真は鍵盤を外した改造版
5.プリセット/ステージタイプのシンセ:
Roland の SH-1000 Korg の Sigma プリセット付ステージタイプで ポリフォニックの Polymoog
・一般的なシンセの内部構成:
音は3つの要素<音程、音色、音量>の時間的な変化で成り立っているが(忘れちゃった人はこちらを参照ね)、シンセサイザーではこの3つの要素をVCO、VCF、VCAというモジュールで、時間的な変化をエンベロープ・ジェネレーターとLFO(これはVCOで代用する機種もある)で作り出す。
前項でも紹介しているが、もう一度まとめておくと、
☆VCO = 基本的な音色と音程を作る
☆VCF = 音色を変える
☆VCA = 音量を変える
☆エンベロープ・ジェネレーター(Envelope Generator) =上記3つのユニット(今後出てくる付随的ユニットも可)に時間的な変化を与えるための電圧を作る。
略して EG、また機能名の頭文字をとって ADSR と呼ばれる事もある。
☆LFO = ビブラートやトレモロをかけるのに使う。
となるわけである。
VCO、VCF、VCAは略語で、日本語だと以下のようになる。
☆VCO = Voltage Controlled Oscillator = 電圧制御発振器
入力する電圧の高さで音程が変化する。
☆VCF = Voltage Controlled Filter = 電圧制御フィルター
入力する電圧の高さで音色が変化する。
フィルターを強引に訳すと濾波(ろは)器となるが、こんな日本語使わない。
☆VCA = Voltage Controlled Amplifier = 電圧制御アンプ
入力する電圧の高さで音量が変化する。アンプは訳したら増幅器。
☆EG、ADSR = Envelope Generator = エンベロープ・ジェネレーター
訳すと包絡線電圧発生器。こんな日本語使いますかねえ?
☆LFO = Low Frequency Oscillator = 低周波発振器
ビブラートやトレモロに使う低い周波数の信号を作る。
いずれにしても上記を日本語で言う事はほとんどない。よって覚える必要なし!
<重要>これらの言葉はメガネ男子好きな腐女子にはウケルかもしれないが、
再帰的プログラム、構造化言語の優位性と共に通常の子女の前で口にしてはならない。
・各部の並び順:
シンセ内部でのVCO、VCF、VCA、エンベロープジェネレーター、LFOの結線は以下のようになっているケースが非常に多い。
典型的な各モジュールの配置を示す。このような各部の図をブロックダイアグラムと呼んでいる。
シンセ内部のブロックダイアグラム
機種によって、さらにエンベロープジェネレーターの信号がVCOに内部結線されていたり、VCOが複数あったりとバリエーションは色々ある。基本的にはVCO→VCF→VCAの流れはほとんど一緒であるが、Moog Sonic Six のように初期のシンセサイザーではVCO→VCA→VCFというようなものもあった。
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