Music Column

4. 音楽業界の失敗談色々:

 ま、どんな業界でも色々な失敗談があるわけですが、音楽業界での失敗を思いつくままに書いてみましょう。


 


シンバルを叩き忘れた打楽器奏者

 オーケストラ曲のエンディングで、一発だけシンバルが入る曲の仕事でわざわざ飛行機で北海道まで行ったのに、シンバル叩きそこねて何もしないのに、ギャラだけは貰ってしまい、暗くなって帰ってきた打楽器奏者がいたとか...


 


転がるタム

 コンサート最後の曲で熱唱、スポットライトの元で、歌手はマイクを持つ手を上にあげ、目も上を見つめてポーズ!

 一瞬の静寂から大喝采が始まるはずのステージのド真ん中の歌手の前に、ホルダーから外れたドラムのタムがコロコロと転がって行ってしまったのだった。これ布施さんのライブだったっけ?

 


掃除用具入れに入った

 演歌系歌手の話。とあるドラマーが演歌の仕事をして打ち上げに顔を出した。歌手の人より先に帰ろうとしたら、コワイ系のオニイサンに「姉さんより先に帰るってのか?」と凄まれてビビった所へ歌手が来て「カタギの人になんて事言うの」と言われオニイサンは「すいやせん」と頭を下げた。

 ドラマーはあせって「それじゃお先に失礼します!」と大慌てで目の前にあるドアを開けて外に出たつもりだったが、ドアを開けて入ったのは掃除用具入れだった。一瞬の沈黙の後、ドラマーは掃除用具入れから出て来たのだった...

 


お腹の調子には気をつけましょう

 クラシックのコンサートで結構大変と思われるのがラベルの「ボレロ」。打楽器でスネアの人は同じパターンを正確に15分以上叩き続けなければならない。相当緊張するらしい。

 で、ある打楽器奏者は緊張しまくったが演奏は無事終了した。しかし、終了後に彼を後ろから見た人の証言によると、ズボンのお尻部分が茶色く濡れていた。緊張のあまりお漏らしか?


 


ドンカマは正確に送るべし

 渋谷公会堂(原稿執筆時点の名前は CC レモンホール)のライブでの話。問題の曲はコンピューターに合わせて演奏するため、演奏者はヘッドフォンをかけ、送られてくるクリック音(ドンカマ)を聞きながら演奏した。ところが PA のミスで、ドンカマの最初の1音が送られなかった。

 その結果、演奏者は2拍目を1拍目だと思って演奏を開始してしまった。

 途中からコンピューターの演奏するフレーズが出て来ると、生の演奏と全て1拍ずれてしまうため、演奏者はヘッドフォンに送られてくるコンピューターのフレーズを聞いているとわけが分からなくなり、全員ヘッドフォンを外して演奏を続け、曲の最後のリピート部分を延々演奏する事になってしまった。

 ステージ上で演奏しながら顔を見合わせて「どうやって終わるんだ?」と途方にくれていたら、指揮者が出て来てステージ中央で「セーノ」のしぐさをして飛び跳ねたので、それに合わせて全員が演奏をやめ、なんとか曲が終わった。

 指揮者は「今の曲をもう一回やります」と言って、もう一度最初から演奏したが、新曲だったため、会場にいる人は、なぜ同じ曲を2度演奏したのか分からなかったという事だった。


 


楽器にぶつかるな

 フェンダーのピアノってのはアンプ部と鍵盤部が2つに分かれて運べるようになっていた。ペダルを踏むとアンプ部の上部から棒が出て鍵盤部のダンパーを押す仕組みになっている。

 生の歌謡番組(夜のヒットスタジオだったか?)でピアノのアルペジオから始まる「セーラー服と機関銃」のテーマを演奏する事になった。曲は CM あけのすぐに演奏したが、CM 入りの曲でスモークをたいた。そのスモークは使用後にステージ上が水浸しになるため、CM 中にスタッフがモップで大掃除。

 しかし、誰かが床を拭いている時にフェンダーのピアノにぶつかったらしく、イントロのアルペジオをペダルを踏みながら弾いたら、ペダルが踏み込まれたまま戻らず、音に全部サスティンがついてしまった。

 ペダルを戻すため、生番組のステージ上で上部の鍵盤を押したり、弾きながらアンプ部を蹴っ飛ばしたりして奮闘する事態になってしまった。

 


ダディ下痢パンツ事件

 その昔、過激なステージパフォーマンスで有名なコミックバンドがあった。チョッパーベースを納豆でやったり豆腐でやったり、放送禁止用語満載の歌をうたったりと、マニアの間では結構有名だった。そんな中、日比谷野音のライブでリーダーのダディ氏が口から火を吐くパフォーマンスを行う予定だった。ダディ氏が口にガソリンを含み、吹き出したガソリンにライターで火をつけようとした瞬間、ベーシストが後方から体当たりを食らわしたのだ。

 その結果ダディ氏はガソリンをゴックンと飲み込んでしまった。パフォーマンス自体はなんとか続けられたのだが、ライブ終了後、ステージサイドに下痢のべったりと付いたパンツが脱ぎ捨てられていたという。これがガソリンを飲み込んでお腹を壊したダディ氏のものだったのかは確認できなかったという。



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